かわきた第212号(2008年1月発行)掲載「川崎の自然をみつめて」
生田緑地の田圃
(都市公園に再生した田圃)

かわさき自然調査団 岩田臣生

 先日、田んぼに生えている稲を見て、それが何か分からない人がいたのに驚かされた。毎日お米を食べていても、お米と稲穂、籾などが結びつかないのだ。
特定非営利活動法人かわさき自然調査団では水田ビオトープ班を新設し、2004年4〜5月に、19日間かけて、生田緑地の谷戸に田んぼを再生した。その目的は生物多様性保全と里山らしい景観の保全である。
生田緑地は、住宅市街地に囲まれた緑の孤島ではあるが、かつての多摩丘陵に普通に見られた生物の一部が生き残っており、その中には現在、絶滅危惧種となっているものも少なくない。これらの動植物が、将来にわたって生き続けていけるように、環境を保全していくことが大切と考えている。
田んぼは3年かけて3枚になったが、これを田んぼとして活用しながら、こうした水域に棲息する生物の定着を促したいとも考えている。都市公園内の田んぼということで、市民農園的な使い方は許されない。このため、活動継続のエネルギーを別の所に求めなければならない。2005年5月に、私たちは、里山の自然学校を開校したが、これが現在、その役割を果たしてくれている。
今年は、田植え直後にカルガモに荒らされて、黄金色の海の如き景観を楽しんでもらうことはできなかったが、子どもたちに泥田での稲刈りをしてもらうことはできた。 田植え、案山子づくり、稲刈り、脱穀を体験して、子どもたちは「自分たちがつくった米だ」と自慢している。
小さな自然かも知れないが、身近な場所で、自らの活動を通して自然に触れることで、身近な自然の大切さを理解してくれる人になって欲しいと願っている。



この文章は、かわきた第212号 2008年1月発行に掲載されたものです。
《事務局へのメール》
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation