生田緑地の谷戸の自然保全活動


田圃再生 18
日時 2004年5月23日(日) 14:00〜16:00 曇
場所 生田緑地
参加者 岩田臣生、佐伯久美

  今日の生田緑地自然観察会は昆虫班の担当だったのだが、担当者2名が無断欠席。岩田(芳美)が電話で呼び出されて、急ぎ車で駆けつけた。そもそも天気が悪いし、一昨日から昨日にかけて、急激に気温が下がっているため昆虫は出ていないだろうと思われ、参加者は少ないと思ったのに、60名が参加した。それでも、ヤマトクロスジヘビトンボがクモの巣にかかっていて、クモが食べているところを観察できたり、1週間ほど前から出始めたシリアゲムシは皆さんの関心を集めていた。
 さて、このヤマトクロスジヘビトンボについては、昨年の連続講座「生田緑地の自然を語ろう会」第4回「不人気昆虫の優雅な暮らしぶり」と題して、脇団員が話しているので、少し紹介しておきたい。
 ヤマトクロスジヘビトンボは、清らかな水でないと棲息出来ない虫である。環境庁の様々な水質指標に使われている。山麓から平野部にかけての清流の住人で、生活は水辺の草に産卵して、孵化して、水中に入って、幼虫生活をして、蛹になって、成虫になる。
 成虫は夜行性で、日中、歩いていても、飛んでいる姿に出会うことは殆どない。昔は、多摩丘陵の谷戸と言われる所にはどこにでも棲息していたものと思われるが、今は、谷戸自体も殆ど少なくなったが、残された谷戸でも姿を消してしまった。それが、生田緑地には棲息している。早野とか、柿生とか、あの辺に行っても出会うことができなかった。恐らく、黒川は発生時期に行って、夜間採集をすれば出会えるかも知れないと考えているが、まだ機会を得ていない。いずれにしても、昔は普通に見られたのに、今は非常に減少している虫である。
 観察会の途中で、福井・公園緑地課主幹に出会う。これからバラ苑に行くということであった。
 観察会を終るところで、水田ビオトープ班の美馬さんがスコップとバケツを下げて、ホタルの里から上がって来た。午後は都合が悪くて帰るという。
 今日の観察会については、もう少し書きたい。
 昆虫班の田中さんも、今日は自然観察ガイドとして活躍したのだが、彼は、補聴器を使っていても人の話が聞きづらい、人に説明するのも思うにまかせないのだ。それでも一生懸命、虫の名前などを説明していたし、楽しそうだった。担当者2人の無断欠席で、初めて自然観察ガイドをする機会を得て、自信も持ったのではないかと思う。彼は、自然観察会に参加したのをきっかけに調査団に入った団員である。
 そんな観察会のお陰で、田圃に行く時間がすっかり遅くなってしまった。
田圃に着くと、佐伯さんが作業をしていた。もう少しだ。

 ツバメが2〜3羽、頭上を飛んで消えた。
 ホトトギスが盛んに鳴いている。「トッキョキョカキョク、トッキョキョカキョク...」 生田緑地に初夏が来たようだ。

 日曜日ということで、木道を通る人が多い。岩田(芳美)の出番である。
 植物好きの夫婦が、咲くのを楽しみに見ていた植物が盗掘されてしまった話をし、それを皮切りに、盗掘話で盛り上がっている。見たい時に、生田緑地に来て、見て楽しんで欲しいという。やはり、《生田緑地パーク・レンジャー(生田緑地自然監視員)》の様なものが必要ではないかと思う。
 上の方の畑はジャガイモをつくっている様だが、どうやったら畑を借りられるのかと聞いてくる人もいる。公園は市民農園ではないと言っても、通じない輩である。しかし、昨日、同じ質問をしてきた人は、田圃のある景観を再生させたいと言ったら、「それはいいことだから、頑張って下さい。楽しみにしています。」と言って去って言った。様々である。

 さて、やっと、田圃予定地の草の根を取り除く作業が終了した。実は、私自身は、だいぶ無理をしてきたので、ホッとしている。佐伯さんと美馬さんという若手2人のお陰である。彼女たちは、昆虫班土壌生物グループのメンバーでもある。田圃づくりが始まってから、そちらの活動は休止状態のはずである。本当にお疲れ様でした。

 後は、泥を均せば、田植えができる。


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