生田緑地の自然の保全

ホタル・ランタンの竹の伐り出し、木道沿いのヨシ刈り


日時 2010/6/7(月)10:00〜12:30 晴
場所 生田緑地の谷戸
参加者 岩田臣生、岩田芳美、城本法子、前田浩子

生田緑地の花菖蒲が見頃を迎えています。


谷戸へ降りると、この季節は様々な生き物との出会いがあります。 このため道草が多くなって、行き着くまでに時間がかかってしまいます。 岩田は竹林に向かい、女性陣は下の田圃に向かいました。
下の田圃周辺の木道の屈曲部は伸びてきたヨシが目隠しをつくっていました。 ホタルの国での安心のために見通しを良くしようということで木道沿いのヨシを刈り取ることにしました。 木道の上にイヌの糞がありました。数日放置されていたようです。愛犬家?のマナーは良くなりません。

岩田はホタル・ランタン用の太めの竹を伐り出していました。
竹林は細い竹が伸びだしていました。
竹林近くにムラサキカタバミが咲いていました。 これは南米原産の帰化植物で、江戸時代に観賞用に移入されたものとのことです。 これは、この場所がかつて畑として利用されていた頃の名残でしょうか。
ホタル・ランタンは全てを取り替える必要は無さそうですが、22本を伐り出しておきました。
作業後、ヨシ刈りの様子を見に下の田圃に向かいました。
木道の手摺りにツノゼミが歩いていました。

谷戸のヨシ原の隣地境界部分のヨシ刈り
日時 2010/6/7(月)13:30〜15:00 晴
場所 生田緑地の谷戸
参加者 岩田臣生

谷戸のヨシが勢い良く伸びていましたので、ヨシ原の住宅に接している部分の草刈りをしておくことにしました。
私たちはヨシ原として維持しようとしていますが、隣接地に住んでいる人からみれば、目の前にヨシが繁っている状態は余り気持ちの良いものではないだろうと思ったからです。
隣地境界から3mほどの幅で、ヨシや草を刈りました。
この住宅にお住まいの方が「有り難う、お疲れ様」と言って、リンゴジュースを持ってきてくれました。
想像した通り、困っていたようです。雑な作業ですが、この程度で勘弁してくださいとお願いしました。


今日出会った生き物たち
生田緑地は、生物の持ち出し、持ち込みを禁止しています。
いつまでも多摩丘陵の在来の生物に出会える生田緑地であるように、採集している大人がいたら皆で注意しましょう。

ジンガサハムシがいました。金色に輝いていて、透明な甲羅を背負っています。不思議な感じがしました。
体長8mm程度のハムシ科の昆虫です。食草はヒルガオの葉のはずですが、出会った場所にはヒルガオは見当たりませんでした。 テングチョウが出てきました。羽化して間もない個体でしょうか。翅の傷みがありません。
年1〜2化で、6〜7月に発生することが知られています。幼虫はエノキ、りュウキュウエノキを食草とします。 ヤマサナエが湿土の上に降りていました。何をしているのでしょうか。 ルリシジミが集まっていました。吸水しているのでしょうか。
ルリシジミは年4化で、3〜11月に出現します。前翅長12〜19mmで、普通に見られる蝶です。 アカシジミに出会いました。翅が傷んでいます。この後、飛び上がったところをトンボに襲われました。 どうなるかと思いましたが、どうにか逃げることができました。
アカシジミは前翅長16〜22mm、年1化で、5〜6月に出現し、コナラやクヌギの多い雑木林で見られ、クリの花で吸蜜することが知られています。
幼虫は、落葉ブナ科のコナラ、クヌギ、カシワや、常緑ブナ科のアカガシ、アラカシなどの葉を食草としています。
ウラゴマダラシジミにも出会いました。
ウラゴマダラシジミは、年1化で5〜6月に出現します。幼虫の食草はイボタノキです。
食草となる樹木が少ないためか、生田緑地での個体数は非常に少ない蝶です。
木道の手摺りで、アトジロサビカミキリ、ヒカゲチョウ幼虫、コメツキムシの仲間がいました。
アトジロサビカミキリは、体長8〜11mmのカミキリムシで、4〜8月の雑木林でよく見られます。
ホタルの仲間にも出会えました。
スジグロボタルは寒冷地の生物で、本州では高山地帯に生息していることが知られており、 生田緑地のような場所に生息していることは不思議なことだと専門家は言います。
幼虫は半水生で、発光しますが、成虫は発光しません。フェロモンで繁殖行動を行っています。
生田緑地では20年ほど前には多産していたと林長閑先生や大場信義先生は当時の調査の様子を語ってくれますが、いまでは非常に減ってしまいました。
神奈川県RLでは準絶滅危惧ですが、生田緑地の自然を代表する生物と言っても過言ではありません。皆で守ってあげたい生田緑地の生物の筆頭です。
ムネクリイロボタルは、体長6〜8mmの陸生ボタルで、5〜7月に出現します。
幼虫は陸生巻貝のみならず、ミミズやサワガニの腐肉まで食べるとも聞きます。

生田緑地では沢山のホタル類に出会うことは期待できないかも知れません。個体数は少なくても、毎年出会えることを楽しみに、生息環境を保全してあげましょう。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation