生田緑地の谷戸の自然保全活動


カナムグラとキショウブの駆除、【里モニ】水環境調査
日時 2011/3/29(火)10:00〜13:00 快晴
場所 生田緑地 稲目谷戸
参加者 岩田臣生、岩田芳美、飯室 健、城本法子

岩田は水環境調査、他の3人はカナムグラやキショウブの駆除を行うことにして谷戸に降りました。
キショウブは西アジア〜ヨーロッパ原産の帰化植物で、明治時代に観賞用に移入されたようです。 繁殖力が強く、環境省は要注意外来生物に指定しています。 生田緑地の中でも、特に、この谷戸は在来の野生生物のビオトープにしたいと考えていますので、駆除活動を始めることにしました。
湿地のカナムグラは成長するとミゾソバやツリフネソウなどをマント状に広範囲に覆ってしまいます。 これに覆われるとアズマネザサやオオブタクサ、ススキやヨシでも負けてしまいます。 この谷戸では 9〜10月に、ミゾソバやツリフネソウが咲いて、来園者を楽しませてくれることを期待しています。 私たちは2008年からカナムグラ駆除を始めました。

この日は暖かく、風も無く、ウグイスが鳴く、春らしい陽気でした。 あちこち観察しながらヨシ原に向かいましたが、下の田圃まで来たところでゴイサギ(成鳥)が飛び立ちました。 流石に大きく、陽光を受けて、背中の羽が青緑色に見えました。
先日田起こしをした田圃の泥の上には足跡が残っていました。
水環境調査はヨシ原から始めています。一番下流だからです。
ヨシ原の池は浮遊物が多いものの、水は十分湛えられていました。 後から聞いた話では、マメゲンゴロウがいたようです。 アメリカザリガニは10匹程しか見つからなかったようです。

キショウブの根は大きくて、簡単に抜けるような代物ではありませんでした。 根きりや携帯用スコップを使って、根茎を堀り取りましたが、池の端からヨシ原の中まで広範囲に広がっていて1回の作業では取りきれません。 今日の作業で4分の1程を根茎から抜き取りました。


カナムグラは双葉の間から本葉が出たばかりです。この時期の駆除は昨年から始めましたが、発芽状態は昨年より少なく感じられたようです。


下の田圃の奥の水流も、上の田圃への導水路も、水量は多かったと思いますが、上の田圃の導水路はパイプの脇から滲み出している量が多く、 パイプからは半分も出ていないように思われます。計測された流量はデータとしては問題がありそうです。
土手にはショカツサイが咲きだしていました。

水環境調査(10:15〜12:39)の調査結果は次の通りでした。
2011年3月29日 調査結果
調査地点 気温℃ 水温℃ 透視度cm PH 流量 L/sec.
K(ヨシ原の池) 12.0 7.2 40 6.9 BTB
B(中央水路末端) 12.0 9.2 100+ 7.0 BTB 0.46
A(下の田圃裏) 12.5 9.9 100+ 6.9 BTB 0.67
H(上の田圃への導水路) 14.0 10.0 100+ 7.3 BTB 0.12
G(湿地再生地) 15.0 12.3 100+ 7.0 BTB
C(ハンノキ林上の池) 13.5 9.5 100 7.0 BTB


ハンノキ林上の池の調査中に萌芽更新地区から人の声が聞こえてきました。 見上げると植物班の植生調査チームが調査を始めたらしいことが分かりました。
調査を終えてから見に行くと、植生調査の事前調査をしているとのことでした。
生田緑地の植生管理を実施している地区についてのモニタリングは、幾つかの枠組みで進めることにしました。 その結果、一部重複調査になってもいいと考えています。 楽しく、継続できる活動になることが大切です。


ヨシ原に戻りました。3人とも夢中で活動していました。

カナムグラは、まだ、この程度の大きさです。 このぐらいの時に抜き取る方が楽だと思いますが、これがカナムグラだと分かる人は少ないと思います。
これを食草にしているキタテハが数匹、飛び回っていました。

イヌシデの芽が膨らんできました。

ウグイスカグラは今を盛りと咲いていました。

生田緑地では、ミヤマカンスゲの花が終期を迎えて、ヒメカンスゲが咲きだしています。時間差だけでなく、生育環境にも違いが感じられます。

ヤマルリソウやスミレ類も咲き始めました。里山が賑わい始めています。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation