生田緑地の谷戸の自然保全活動


柵の設置について現地協議
日時 2011/8/16(火)10:00〜11:00 晴、32℃
場所 生田緑地中央地区南西谷戸(旧岡本谷戸)
参加者 岩田臣生、岩田芳美
    多摩区道路公園センター(今井、山口)
ここは生田緑地の湧水が滲み出して、飯室泥岩層の表面を湿らすように流れ、スゲ類が繁茂して、生田緑地の自然の質を特徴づける生物が生息している場所です。 この生物は氷河期の生き残りと言われており、関東地方が寒冷な気候にあった頃に北方から生息域を広げて生息し、 その後も多摩丘陵等の谷戸の奥で生息し続けている生物です。 この生物の調査研究を行っている八王子の団体の調べでは、現在多摩丘陵の80を超える場所で生息しているそうです。
当該地では、来園者がサワガニを採集するために踏み荒らすことが度々ありました。 そこで、生物保護のため立入禁止であることを明確にするための柵の設置を公園管理者にお願いしていました。
また、この水辺を水飲み場や行水の場として野鳥が利用して多くの野鳥が集まることから野鳥の観察場所にもなっていたのですが、 ここでペットの犬を放したりする来園者もあって、野鳥ファンからも柵の設置を依頼してほしいという要望を戴いていました。
今回、中央広場の整備にともなって新たな来園者が増え、自然の水辺に立ち入る人も増加すると危惧されることから、 再度、柵の設置を要望した結果、現地での協議が行われることとなったものです。
話し合いの結果、園路から3m程度入った場所に廉価な柵を設置してもらえることとなりました。
ここでは、当該生物の生息地として適切な説明看板も設けて、多くの人に理解してもらった方がいいと思いますが、 保護のためには非公開とした方がいいという意見も根強く、調整のための時間を戴きたいと思っています。


ついでに奥の池の水の浄化についても話し合いましたが、水は汚らしい状態のままでした。 岡本美術館側から僅かばかりの水を入れることでよしとしたようですが問題は解決されていません。 これからも、いくつかの方法を試してみるということで、この日の協議は終了しました。



アメリカザリガニ駆除
日時 2011/8/16(火)11:00〜15:00 晴、32℃
場所 生田緑地稲目谷戸
参加者 岩田臣生、岩田芳美

多摩区道路公園センターとの現地協議を終えてからアメリカザリガニの駆除をするために谷戸へ降りました。
ハンノキ林地区の木道沿いのアズマネザサが汚らしく刈られていました。 鎌等でなで切りにして片付けをすることなく放置してあります。 誰が何のためにやったのか不明です。
刈られた場所は林内に立ち入りし難いように刈らずに残してあるアズマネザサで、毎年冬期に手入れをしている所です。 夏期にはカラスウリやジイソブなどが繁茂しています。
写真撮影のために邪魔になる部分を切り落としたという感じのササ刈りでした。


田圃の畦を歩くとアメリカザリガニが逃げる姿が見られました。
活動は、まず上の段の堰を外して水を落し、水のあるところに移動してきたアメリカザリガニを手網で取ったり、 畦沿いの草の間に隠れているものを手づかみで捉える方法をとりました。
田圃のイネは今が花盛りなので、水の引いたイネの間に残っているアメリカザリガニは無理に採集することはしませんでした。
一通り採集したところで、堰を元に戻し、今度は下の段の堰を外して同様の採集を行いました。
この日採集できたアメリカザリガニは 大71、小755でした。
下の段でも、ホトケドジョウ、小さなシオカラトンボ型ヤゴ、クロセンブリ幼虫などが採集されましたが、 水温が高くなっているのでホトケドジョウは生き残れないでしょう。 アメリカザリガニに食べられたのか、体が半分になった死骸もいくつか見られました。 水溜まりになった田圃の水面にオオアメンボが出てきました。





周辺の草地には、ミソハギ、セリ、ユウガギクなどの花が咲いていました。


帰り道、ドバミミズの死骸にベッコウヒラタシデムシ(♂2♀2)が集まっているのを見つけました。
これは甲虫目シデムシ科ヒラタシデムシ亜科の昆虫です。この仲間は動物の死体や糞を食べています。
生田緑地でよく見かけるヒラタシデムシ類はオオヒラタシデムシです。 ベッコウヒラタシデムシは1年に1回程度しか出会うことがありません。
共に林の掃除屋さんという重要な役目を担っていますが、オオヒラタシデムシは人家の多い場所でも見られますが、 ベッコウヒラタシデムシは自然が比較的良く残された地域に生息している種であることが分かっています。


生田緑地の谷戸の自然保全活動のメインページへ

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation