生田緑地の谷戸の自然保全活動


【講師派遣】 立教大学社会学部現代社会学科特別演習
日時 2011/11/10(木) 10:00〜13:30 晴
場所 生田緑地
参加者 佐久間淳子、立教大学社会学部現代社会学科2年 11名
  (講師)岩田臣生、岩田芳美

立教大学社会学部現代社会学科専門演習の講師をされている佐久間淳子先生に頼まれて、同科の2年生の生田緑地調査のお手伝いをしました。 今年で3回目です。
先生は、毎年意欲的に内容を工夫されていますが、今年は宮内泰介編「半栽培の環境社会学」を読ませるところから始めたと聞いています。 里山は人々の暮らしの中で成立していた自然ですが、生田緑地ではどのような人とのどの様な関わりがあるのか、関わっている人たちはどのような恩恵を受けているのか、 社会学の立場から興味を感じた事柄について取材させてレポートを書かせるということのようです。
私たちは生田緑地の自然に直接手を加えて、辛うじて生き残った多摩丘陵の在来の生物が将来的にも生き続けられるようにしたいと考え、様々な活動を行っています。 その活動における自然との関わり方を外部から眺めて考察し、その考察をフィードバックしてもらえるということを有り難く感じています。
今回は公園管理事務所の会議室が使えるということから座学とフィールドワークの両方を組み合わせて実施しました。
座学では、水田ビオトープ班の始まりから現在までの活動について、活動を起こした動機、活動を成立させた要因、その他について、 文字として残していない流れや繋がりなどを中心に話をしました。
フィールドは公園管理事務所近くの谷戸への降り口〜ピクニック広場〜ハンノキ林〜湿地〜梅畑〜上の田圃〜下の田圃〜ヨシ原を歩きながら、 少しだけ自然の解説も交えて、どんな活動をしているのかを説明しました。
学生さんたちが公園管理事務所に到着しました
座学ではレジュメは配布せずにプロジェクターで要点を投影しておいて話をしました。

外へ出たところで、コナラとクヌギを教えましたが、手で触ってもらえば良かったと反省しています。 生田緑地の雑木林の代表的樹種であり、雑木林の話をすれば必ず出てくる樹木ですから実物を知っておいてもらった方がいいと思いました。

ハンノキ林は当該谷戸の重要な構成要素です。 4mもの高さのアズマネザサが密生して藪になっていた頃の写真がありませんので、管理前と管理後の違いを理解してもらうのは困難です。
前夜の雨で湧水の水量が増えているのか、手を入れたばかりの水流には水面が広がっていました。

ホタルをはじめとする水辺の甲虫類の棲息環境として全体を湿潤にしたいと考えている谷戸の中央に畑をつくることは、私たちとしては止めてもらいたいと 考えていますが、立場によって意見は異なります。

上の田圃の辺りにはマユタテアカネとアキアカネが群れていました。 昨夜の雨の後に多数発生したユスリカなどを夢中で追いかけている個体、木道の手摺りに止まって陽光を受けている個体、 交尾中の個体や産卵している個体など多数見られました。
上の田圃と呼んでいるのは、2005年、2006年に再生した田圃です。 10月に刈られた稲の切株からひこばえが伸びています。

4年間にわたるホタルの里整備事業で木道を整備する前に一番のホタルの観察ポインだったところにホタルの生活史を紹介する看板が設置されています。

下の田圃の周辺には枯れかけたツリフネソウとオオミゾソバが広がっていました。 ここは、このツリフネソウとオオミゾソバを観察できる場所として草地管理をしていることを話しました。
今は花も終わって、種子が少し残っていました。 実に触ると種子が弾けるということを体験してもらったので、ツリフネソウという名前は覚えられたのではないでしょうか。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation