生田緑地の谷戸の自然保全活動




人為的インパクト調査の補足調査(植栽樹調べ)
日時 2012/3/29(木) 11:00〜15:00 晴 
場所 生田緑地 伝統工芸館〜奥の池〜梅園〜つつじ山〜旧岡本谷戸〜ヒマラヤシーダ広場〜中央地区南幹線園路〜野鳥の森〜菖蒲池〜科学館裏谷戸
参加者 岩田臣生

環境省モニタリングサイト1000里地調査の一般サイトとして生田緑地を登録し、 当調査団が担当して、植物相調査、鳥類調査、中大型哺乳類調査、ホタル調査、水環境調査、人為的インパクト調査を行っています。
今次の調査は2008〜2012年度で、今次の人為的インパクト調査の完了を急いでいます。
ただ、生田緑地においては生田緑地植生管理協議会による植生管理、 合議による植生管理計画づくりとこれに基づく植生管理を推進することが適切であると考えています。
その合議は現地における話し合いが短時間での合意形成を可能にしてくれると思われ、この話し合いを市民部会で行っています。
しかし、室内会議の場でも植生管理についての話し合いは必要であり、 参加者が生田緑地全体の植生の現況を理解していることが求められる場面もあります。
そうした場面に役立てることのできる相関植生図である方が、生田緑地においては有効であるし、 調査をしようという気持ちを起こさせてくれます。
そのためには、二次的自然を含む自然の部分と公園整備として植栽した部分とを区別しておく必要があると考えました。
残念ながら、過去の植栽の記録は見つけられていませんが、現状を観察して推察しようと考えました。
また、合わせて、特に大きな樹木とか、生田緑地の中での地域的特徴になるようなものも記録したいと考えました。
そんな目的を持って、生田緑地を歩きました。 調査結果は相関植生図のベースになる図に反映させますが、歩きながら気がついたことを列記してみます。

スイセンなどの園芸品種が咲いていました。 保護柵が立てられていましたので、誰かが管理しているようです。 植生管理計画では行政が年1回全て刈り取る「幅刈り」という部分でした。 在来の自然を大事にしたいと考えている地区でしたので、このように持ち込まれたものをどうするかの合意形成は必要かも知れません。

伝統工芸館から奥の池に降りる探勝路脇に生育していたタマノカンアオイが見当たらなくなっていました。

奥の池脇の広場には、この日も車が駐車されていました。 臨時の通行許可証が置かれていましたが、一般の来園者が集まる広場での駐車は適切ではないと思います。

梅園と園路との間にベンチの並ぶ園路が整備されていて、おそらく梅の鑑賞ができるようにという意図で整備されたものと思いますが 園路両側に植えられたアセビが大きくなって防犯上どうなのか、気になりました。 勿論、せっかく咲いている梅も隠れて、全景を見られる状態ではありません。
このアセビは園路柵の高さで刈り込んでおいた方がいいと思いました。 これは植生管理協議会に起案した方がいいかも知れません。

つつじ山山頂の大きなコナラは昨年の台風で折られ、その後、危険回避のための措置がとられ、無残な状態になってしまいました。

つつじ山の南側の樹林のアズマネザサ刈りが済んでいました。 雑木林を育てる会が活動してくれたものと思います。
お蔭で、この地区が一面にサクラを植樹した区域らしいことが分かりました。 園路沿いの大きなサクラとは対照的に、ヒョロヒョロの状態でした。

また、サンシュユが咲いていて、3本植えられていることが分かりましたが、暗い環境にあるようで、元気はなく、花付きも悪いように見えました。
直ぐ南側にマテバシイが6本、蜜に植えられていることが災いしていると思われます。


今回の調査で更めて、つつじ山が様々な樹木を植栽された場所だということが分かりました。
再度、植生管理計画について話し合いをした方がよさそうだと感じました。

園路沿いでは、ミヤマカンスゲの花が終り、ヒメカンスゲが咲いていました。 非常に似たスゲですが、開花時期は少しだけずれています。
ヒメカンスゲ
ミヤマカンスゲは、この様に大きな株をつくります。
ミヤマカンスゲ

大事なスミレが生育する場所では、もうアズマネザサが伸びていました。 既に、スミレの葉が出始めていましたので、気になった所だけハサミでササ刈りをしておきました。

生田緑地では園路沿いに様々な樹木を植栽してきたようです。 代表的なものはツバキですが、大きなクスノキやトチノキなども、植栽だろうと思われます。


シラカシの実生木が密生している場所がいくつかありました。
こうした遷移が進んでいる場所を、どのように植生管理するかということについて、基本的な方向性については植生管理協議会で議論する必要がありそうです。

暖かな陽気にテングチョウが飛び出しました。 成虫で冬を越した個体です。


ヤマルリソウのポイントも見ましたが、園路の片側にしか見られず、また花はまだまだでした。
ナガバノスミレサイシンも蕾は1つしか見つかりませんでした。もう少し日にちがかかるようです。
ミドリハコベはあちこちで咲いていました。


コスミレが咲いていましたが、例年、大株で咲いていたコスミレが見られないばかりか、園路のこちら側は一株も見当たりませんでした。
全く無いという状態からは、草むしりをしたのではないかと想像してしまいますが、偶然通りかかった道路公園センターの職員は、そんなことはさせていないと 言っていました。


枯れていることが確認された中央広場のヒマラヤシーダは完全に除去されて、今まで、そんな大木があったなどということは、 来園者の誰も気付いていないと思われました。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation