生田緑地の生物の生息環境を再生・保全する活動


入団希望者への活動説明
ハナニラ、シラユキゲシ、ハナダイコン、カナムグラ等の駆除

日時 2013/4/9(火) 10:00〜13:00 晴 
場所 生田緑地 稲目谷戸 
参加者 岩田臣生、岩田芳美

水田ビオトープ班では、入団したいという人には稲目谷戸を案内しながら、調査団の歴史と活動、水田ビオトープ班の活動、生田緑地の自然などについて説明しています。
相手次第で説明内容は非常に偏ってしまうのですが、希望者が知りたいと思っていることには答えるようにしています。
水田ビオトープ班は、2004年4月に、生田緑地の谷戸(ホタルの里)に田圃を再生する活動をするために新設した班です。
この田圃を再生する活動を通して、生田緑地に生き残っている生物の生息環境を保全する必要性を感じて、 同年10月に、牧野民夫(川崎市北部公園事務所所長)、若宮崇令(川崎市青少年科学館館長)、専門家として倉本 宣(明治大学教授)、大場信義(横須賀市自然・人文博物館)、 林 長閑(調査団理事)、三島次郎(調査団団長)に参加していただいて、シンポジウム「市街地の中の里山“生田緑地”の自然をどう考え、どう保全するか」を開催し、 活動の方向性を確認してから、同年11月以降、谷戸の湿地の再生に取り掛かりました。
2005年には、5月に2枚目の田圃を再生し、同月に里山の自然学校を開校し、6月にホタルの国の活動を始め、12月には竹林の管理活動も始めました。
2006年には、4〜5月に3枚目の田圃を再生し、9月に生田緑地植生管理協議会市民部会事務局に選任され、これを機に生田緑地の雑木林のあるべき姿を追求する活動を始め、 12月には植物班の協力を得てハンノキ林の保全に向けた毎木調査を行いました。
2007年は、1月にハンノキ林の再生・保全に着手し、2月には谷戸末端のヨシ原の管理を始めました。
こうして、活動領域を広げ、稲目谷戸の大部分を一体的に管理できるようになりました。
当初は、田圃をつくるのは自然破壊だと言って反対していた人たちもいましたが、私たちの田圃を見て自然破壊だという人はもういないと思っています。
何故なら、田圃の周囲で、クロセンブリ、ヤトセスジジョウカイ、ヤマトクロスジヘビトンボ、多数のガガンボ類が観られ、 田圃の中には アズマヒキガエルやシュレーゲルアオガエルのオタマジャクシ、ホトケドジョウなどが戯れ、マメゲンゴロウが定着しています。
湿地を保全することで、スジグロボタルも増えています。 4月にはツマキチョウが見られ、5月にはヤマサナエが見られ、6月にはゲンジボタルの光の舞が見られ、7月にはオニヤンマが飛び回り、ヤマトタマムシにも出会え、 8月にはトウゴクヘラオモダカが咲き、9月にはツリフネソウやオオミゾソバが咲き、10月には実った稲の周りでマユタテアカネが見られ、11月にはまだオオアオイトトンボが田圃で見られます。
基本的には、生田緑地全体の生物相を考えながら、それぞれの場所の管理をしているつもりです。

水田ビオトープ班の活動日は不定期です。 メーリングリストで話し合いながら、天気予報を気にしながら、活動する日を決めています。
活動時間は10時に公園事務所(現在は生田緑地整備事務所)裏に集合して、谷戸に降りて活動し、12〜13時には終わらせて、 その時期に咲いている花などがある場合は、自然観察を行って、解散しています。
活動には長靴が必需品です。その他の道具類は、調査団保有のものがあります。

身近な自然の見方を知っている人だと、観察会になってしまい、時間がかかります。
ピクニック広場の植生管理については、2007年9月に、市民部会の現地協議で「林床に草本植物が繁茂できる樹林」を目標にすることで合意されましたが、 アオジ等の野鳥の観察場所であるという理由でササ刈りに反対する意見が強かったのですが、普通の来園者が気持よく歩けることも大切だということから 東側の階段部分の見通しを良くするために東側斜面のみを対象にするならいいだろうという合意に達して、 2008年11月に、枯損木の撤去、ヤマグワ等の小径木の除伐、ササ刈りを行うことができました。
しかし、その後3年経過しても、林床にはキヅタが繁茂するだけで、アズマネザサさえ疎らにしか生えてきませんでした。
そこで、反対していた人たちと何回かの話し合いを行い、斜面下部のミズキなどを伐採し、草地を広げることについて合意に達しましたので、 2012年3月に市民部会として、ここの樹木を6本伐採しました。
2012年の夏期は、切株からの萌芽や草本の繁茂が著しく、ミズキ伐採の効果は予想以上に大きいものでした。 しかし、草地は後から後から次々に花々が咲いていくので、草刈のタイミングが難しく、結局、全ての草が種子を成熟させるまで待って、種子をふるい落としながらの草刈りを 12月19日に水田ビオトープ班で行いました。
そして、この春、斜面にタチツボスミレが広がりました。 期待していた通りの結果が現れましたが、これから夏に向かって、どのような花が咲いてくれるのか、楽しみです。


ハンノキ林で、芳美はシラユキゲシの駆除を行っていました。そこに、生田緑地の野鳥調査をしていた野鳥班に出会いました。




8日の指定管理者との現地協議の時に水流に土砂が溜まっていたのを見ていたので、今日は、そんな水流の泥あげをしながらの説明会にさせてもらいました。


彼女は明治大学に入学したばかりの1年生です。 しっかりしていて、自分で調べられることは自分で調べているようです。 少し舌の回りの良い、将来が楽しみな可愛い女の子でした。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation