生田緑地の自然保全活動


下の田圃の畔の補修、田起こし
日時 2014/3/24(月) 10:00〜14:00 晴
場所 生田緑地 下の田圃 B07
参加者 岩田臣生

22日に水環境調査を行った時に、田圃から隣地への浸み出しが止まっていないことが分かったので、これを止める作業を行うことにしました。
下の田圃は、ホタルの里整備事業が完了した2004年3月に田圃再生について隣地のYさんと話した時に、Yさんが「ここでやれ。」と指定した場所です。
その時の境界は、昔から田圃として使ってきた中にあって、垣根の下に畔はありませんでした。 現在ある畔は、田圃を再生する時につくった畔です。 私たちとしては、ここに畔をつくって隣地とは完全に遮断し、排水口は昔から畔であった部分につくりたかったのですが、当時、Yさんはクワイを栽培していて、 今まで通り水を通してくれと言われました。このため、排水口も、新たな畔の部分につくらなければなりませんでした。
畔をつくると言っても使える土はなく、田圃を再生する場所に繁茂していたチゴザサの根を積み、100m程離れた場所の土をバケツに入れて運んできて、何とかつくった畔です。 これに、毎年数回、泥上げを繰り返すことで、沈んでいく畔を辛うじて保っていました。
Yさんが体調を崩し、クワイ畑を止めて、Yさんのお子さんが畑仕事をするようになって、「水は流すな。」と言ってきました。 情況が変わっただけのことです。 改めて排水路を掘削し、隣地へ流していた水を止める努力をしています。 しかし、初めに畔をつくった時と同様、1〜2年で止めることは、私たちには無理です。
隣地の水路やクワイ畑だった凹地はそのまま放置されているため、そこからアメリカザリガニが上がってきて、孔を開けたりもします。
4〜5年かけさせてもらえれば、水漏れしない畔にできると思いますが、代が替わっただけで、そんな話もできなくなってしまいました。

現地の畔を調べると、下の方に、腕が入りそうな大きな孔が開いていて、土も柔らかくなっていました。 その孔の辺りに、土嚢を押し込んでみました。小さい土嚢でしたが、4つも押し込むことができました。 如何にグズグズになっていたかが分かります。
また、水流沿いに泥上げして、積んでおいた土を運んできて、この畔の上に積み、上から踏み固めてもみました。 漸く、畔の上を歩いた時に沈み込む状態が無くなっていました。
そこまでやっておいてから、田起こしを行いました。 田起こしと言っても、Yさん自慢の田圃の土はトロトロで、しかも10年間冬期湛水していますから、落葉と泥をかき混ぜているという表現の方が正しいかも知れません。
全域を一通りかき混ぜてから、Yさんに言われてからつくった排水路を見たら、水が流れていました。隣地側の凹地にあった流れは消えていました。
残念ながら、これで完了とは言えませんが、後何回か、この作業を繰り返せば、隣地へ流れ出すのを止められると思います。 しかし、ウェーダーを履いての田起こしはスマートではありません。


田起こしが済んだ浅い水域のあちこちにホトケドジョウが見られました。
帰りに、上の田圃にはコサギが来ていましたので、少し心配になりました。 そういえば、作業中に後ろの方でカワセミの声がしていたことを思い出しました。
人が作業した後に何が起こるかを、彼らは知っているようです。
また、ルリシジミ♂が現れて、田圃の周りを飛んだり、止まったり。不思議なのは田圃から離れようとしないことです。
飛んでいる時に見える表翅の薄い青紫色は、田圃の土の上では目立って、美しいと思いました。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation