生田緑地の谷戸の自然保全活動



田植えの準備、ホタルの国の準備

日時 2016/5/24(火) 10:00〜13:00 晴
場所 生田緑地 下の田圃
参加 岩田臣生、岩田芳美

蓄光目印貼りの続きと下の田圃の代掻きを済ませておくために、谷戸に降りました。
途中、ヤマグワの実が熟れだしたためか、シジュウカラの群が騒いでいました。
ヒヨドリは縄張り争いをするのでしょうか。激しくぶつかって、争っていました。

谷戸でカラスに襲われた人がいるという話を聞いて、巣があるかも知れないので、良く見てみようと思いながら歩いて行くと、 ハンノキ林の杉木立の辺りにカラスが待っていて、1羽が直ぐ近くの木に飛んで来ました。
樹上を見上げながら歩いていたせいか、後を追うように、木から木へ移りながらついてきました。
この時、杉の木の上の方に、もう1羽いましたが、そこには巣はありませんでした。
見張り役らしいカラスは威嚇するように近づいて来るので、普通は怖いと感じるだろうと思います。 しかし、帰りに通った時は、1羽のカラスもいませんでした。 もしかすると、近くに巣があるのではなくて、巣立ちの雛のガードをしている親カラスが威嚇行動をしていたのかも知れません。

オヤブジラミなどの草が茂ったところに、ヒメヒゲナガカミキリが2匹いました。
普通に草地で出会う小さなカミキリムシです。


下の田圃付近のヨシはすっかり伸びていました。


心配していたのは水が無いことでしたが、その心配は無用だったようです。
そこで、代掻きの前に、コマツカサススキの保護管理をしておくことにしました。 具体的には何をすることが保護になるのかが良く分かりませんが、コマツカサススキの株の中から生えてくるイネ科植物、セリ、ツリフネソウ、オオミゾソバなどを抜き取っています。
コマツカサススキの葉は伸び始める時期が遅いので、先に、これらの植物が根を張って育ってしまうのは良くないだろうと考えて、抜き取り作業を行っています。 こんなことは、1株しか無いからできることなのですが、...。

下の田圃の代掻きは、まず、畦部分のヨシを刈り取ることから始めました。
すると、辺りの草の茎に、泡の塊がいくつも見られました。 そこで、そのうちの一つの中を見てみました。
住人のアワフキムシは、まだ幼虫でした。


周囲から見ていると、田圃の中には何もいないように感じましたが、良く見ると、シュレーゲルアオガエル幼生やホトケドジョウの稚魚が泳いでいました。
時折、ツバメが泥を取りに来ていました。
スジグロシロチョウやキタキチョウが来ていましたが、単純な吸水ではないのか、ペアで行動していました。
シオヤトンボの姿は見えなくなっていて、替わりに、オオシオカラトンボがいました。


土嚢堰の土嚢を一つ増やして水位を上げながら代掻きを進めました。
クワイが数を増やし、もう大きく葉を広げていました。
コナギの芽も、一面に出ていました。
ミゾソバ、コガマ、センダングサなどの芽も出始めていました。
これらを泥に沈ませながら、鍬でこねて、できるだけ平らにしました。
ここの代掻きは、ケラの巣を壊してしまうようで、後から後から、ケラが出てきました。
水深のある方には、大きめのアメリカザリガニがいましたが、手網を用意していませんでしたので、1匹しか駆除できませんでした。 この湿田は深いので素早く動くことができません。



階段の蓄光目印貼りを終えたカミさんは、木道脇のカナムグラ駆除を始めました。
この時期のカナムグラはまだ小さいのですが、周りの草に絡んでいるので、抜くのは結構大変です。 何しろ、数が多過ぎます。


この日の作業を終えることにして、日陰で休憩しようとしたら、目の前を、スジグロボタルが飛びました。
もうスジグロボタルの季節になっていたのかと、辺りを観察すると、4匹のスジグロボタルがいました。
赤い翅の小さなホタルで、昼間活動しています。 近くの看板には、光らないホタルとして紹介されています。
幼虫は半水生で、非常に狭い範囲で生活している水辺の甲虫ですが、生田緑地のスジグロボタルの幼虫が何を食べて、どんな暮らしをしているのかは良く分かりません。

座って休憩しながら辺りを観察していると、ヒゲナガハナノミ、3〜4種のクモ、カナヘビなどがいました。


帰り道、ニワトコの葉に小さな生物がいました。 肉眼では小さくて見えなかったので、カメラで撮影してみたのですが、AFが上手くいきませんでした。
それでも気になったので、図々しく、茅ヶ崎の岸さんにお尋ねし、こんなピンボケ写真なのに、ハルササハマダラミバエだと教えていただきました。
翅を両側に広げていて、動き方も独特で、不思議な生物に思えたのです。

市街地の中の里山<生田緑地>にも、生き物で賑わう季節が訪れています。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation