生田緑地の生物多様性保全活動


ハンノキ林の水辺保全など  
日時:2023/11/21(火) 9:00〜12:40 晴
場所 生田緑地 ハンノキ林(A07-02)
参加者 岩田臣生

今年は、水田ビオトープ班としては、10/31(火)からハンノキ林の水辺保全活動を行っています。
里山倶楽部としては、ハンノキ林地区のうち、@東12地区について、伐採更新を行い、更新管理に入っています。
A西地区については、アズマネザサ刈り、常緑小径木伐採まで終えて、伐採更新にかかれる状態になっています。
B東11地区については、伐採更新を目指して、先日、2023/11/18(土)に、アズマネザサ刈りを行いました。
東11地区の主要部分のアズマネザサ刈りができたので、当該地区の地形と樹木等の状態を観察できるようになりました。
そこで今回は、この東11地区が接する水辺の状態を調べて、可能な範囲で、水辺保全活動を行いました。
ハンノキ林のゲンジボタル成虫は、外光の影響を受け難い、この支谷戸の辺りで飛翔していることが、よく観察されています。


(東11地区A07-11の西側隣接地)
初めに、ハンノキ林(A07-01)からの水流を調べましたが、11/18(土)には前日の降雨のお蔭で、僅かながら流れる水が確認できたのに、今回は地面が湿っているものの水流は認められませんでした。
今年のミヤマシラスゲは大きく、1mを越えています。
辺りの様子も昨年までとは違って、ヤブの中に入ったような感じです。
そのぐらい植物の繁茂が著しいので、立冬を過ぎたというのに、植物の蒸散量が多い状態が続いていて、そのために、関東ローム層からの絞り水である湧水は少なくなっているのだろうと推察されます。
この場所の水流を止めるような形で落枝を積んで、流心に当たりそうな場所に水溜まりをつくって、水涸れの時でも、小さな水面が残っているようにすることを目的に、 落枝ダムをつくることを試みました。
しかし、この場所にも、様々な植物の根が張っていて、穴を掘ることは簡単ではなく、地面下から染み出してくる水は少量で、なかなか水が溜まりません。
そこで、今回、この部分については、流れて来れば溜まるようにしただけで止めました。


(東11地区A07-11と東12地区A07-12の間の支谷戸)
アズマネザサ刈りを半分ほど終えたハンノキ林東11地区(A07-11)の北側の水辺は、水際が見えないほど、ミヤマシラスゲが繁茂していました。
少し奥の方に進むと、オカウコギ、アオキ、ヤツデなどが繁茂し、その少し上に、メギ、アオキなどが生えていて、更にその上方の崖の上は、太いアズマネザサが林をつくっていました。
支谷戸中心部の最奥部に進むと、飯室層の斜面の上に、飯室層の粘土が少し混ざったような砂礫質の土砂が薄く載っているような状態で、飯室層の表面をつたって湧水が染み出している現場を見ている感じがしました。
湧水で濡れている斜面を上ると、最奥部は1mほどの崖になっていて、その上は太さ1cm以上のアズマネザサのヤブになっていました。
この最奥部の中央部には、ヤブを切り裂いて、倒木が倒れ込み、これによって倒されたと思われるアズマネザサが下方に向かって寝ていました。
この一団のアズマネザサや倒木は、崖の上に押し返しておきました。
支谷戸の中心部の飯室層の斜面の下端部の水際に、水溜まりをつくりたいと思って、落枝ダムをつくりました。



この支谷戸の東12地区(A07-12)側は、東12地区(A07-12)の伐採更新の大径木伐採を始めた時に、湿地に棲息する生きものに与える影響を小さくしたいと考えて、アズマネザサを刈らずにおいたので、 アズマネザサのヤブの状態でした。
湿地に倒れ込んでいるアズマネザサは除伐しました。
東12地区(A07-12)の大径木伐採の時に伐採材を水辺に転がしたままにした辺りが気になっていましたが、今夏の植物の繁茂の勢いは凄まじく、積まれている材の隙間から這い出して繁茂して、 すっかり材を隠していました。


支谷戸部を抜けても、ミヤマシラスゲの繁茂は著しく、水流保全活動で行っていた水溜まりづくりの痕跡を見つけることが困難な状態でした。
東12地区(A07-12)の伐採更新では、谷底部への影響を考えて下端部のアズマネザサを残しましたが、大径木伐採は終わったので、少しずつ刈っていきたいと思いました。
伐採しないでおいたオオモミジの辺りまできたところで、水辺を離れました。


休憩してから、東11地区(A07-11)の大径木伐採について考えました。
里山倶楽部では凄い勢いでアズマネザサ刈りを行いましたので、斜め刈りになって、細いアズマネザサでも、槍衾状態になっていました。
大径木伐採の活動を考えると、一度、剪定鋏で伐っておいた方が良さそうでした。
カシワバハグマが実をつけていました。




大径木伐採の伐倒方向については、南側の2本については、ハンノキ林上の池方向が良さそうですが、事前に、ヤマハゼなど、2〜3本の伐採が必要だと思いました。
ただ、これらは、径10〜15cmですので、萌芽更新が可能だと思います。
また、西側の6本については、かなり難しいものの、ハンノキ林(A07-01)〜(A07-02)の樹木にかかるのを避けて、倒すことができそうだと思いました。
この伐採方法については、次回の里山倶楽部で話し合い、事前に伐採する必要がある樹木の伐採も行いたいと思います。


伐採しようとしているナラ枯れ大径木は、既に、カシナガはおらず、菌類が繁殖しています。


今月は、ハンノキ林の林床のヤブを解消する活動を行ってきましたが、改めて見渡してみて、もう少しで良さそうな感じになったと思いました。



帰り道、大株のアザミがまだ咲いていると思って、良く見たら、ガガンボ?が体中に花粉をつけて、リズミカルに体を上下させていました。
何をしているのでしょうか?何方か、ご存知の方、教えていただければ幸いです。
宜しく、お願いします。


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