生田緑地の生物多様性保全活動


谷戸の水辺保全(谷戸の水涸れが始まりました!)  
日時:2024/8/13(火) 8:50〜12:30
活動参加:岩田臣生
場所:生田緑地 湿地地区、上の田圃地区など

生田緑地の谷戸では、ツクツクボウシも鳴き始めました。

専修大学側のナラ枯れコナラが今夏、倒れて、谷戸のエノキに掛かり木になっていましたが、これを指定管理者が伐採してくれました。
ピクニック広場、ピクニック広場下のエノキの大木は、この辺りに棲息する生きものの生活の基盤になっていると思われますので、大事にしたいと思います。
更に下の、ハンノキ林上のデッキ近くにも、3本目のエノキの大木があったのですが、これはキクイムシに数年がかりで侵されたため、伐採されてしまいました。

オオタカ幼鳥の悲しげな声が聞こえていました。

ハンノキ林上の池は白く濁っていました。

ハンノキ林の出口東端部の湿地が水涸れを起こしていました。
谷戸の湧水は、絞り水と言われるように、飯室層の上に堆積している関東ローム層に貯留された水が周囲に染み出したものですから、 植物からの蒸散量の多い夏季に降雨が無い日が続くと、水涸れが起こり、そこに棲息していた生物が消えるという事態が起こります。
この湿地では、スジグロボタルが棲息していたのですが、水涸れが起こったことで、消えてしまいました。
それから時間が経って、数年前から、湿地地区で見られるようになったので、間もなく、この湿地にも戻るだろうと思って、 水涸れを起こし難いように、水溜まりづくりなどを行ってきたのですが、涸れてしまいました。


今日は、上の田圃から見ていくことにしました。
やはり、導水路の流量は少ない状態でしたが、水漏れは見つかりませんでした。
ザッと泥上げを行いました。

田圃の水は全面を覆える水量は無く、排水堰からの水路に、水はありませんでした。
畦のススキにオオカマキリがいました。

イネの出穂は進んでいます。

イネの間の泥面には、アライグマの足跡が残っていました。

肥料食い田圃雑草、コナギは葉を広げていますが、開花は未だのようです。
狭くなった水面には、まだ、オオアメンボの姿がありました。

上の田圃の上の段の排水堰からも、水は落ちていませんでした。

水漏れ穴が開いているのではなく、導水路からの水が少ないためとは思いましたが、水の染み出しを少しでも減らそうと思い、畦への泥寄せを行いました。
土嚢堰からはチョロチョロと僅かな水が落ちてきました。
谷戸の両岸の水流が非常に少ないことはどうにもなりません。
高水温では生きられない生物は、とっくに別の水域に移動していると思いますので、上の田圃地区の活動は終えることにしました。

シオカラトンボのオスが集まっていて、時々、オニヤンマに静寂を破られていました。

 9:50 気温 28.5℃、湿度 70.5%、暑さ指数 WBGT 26.7(警戒)

田圃の畦に生えていたクサギに、カミキリムシがいましたが、大きさが、1〜2cmと小さく、肩の辺りに黒い点が二つあるのは分かりましたが、それ以上は分かりません。


下の田圃は、畦のミゾソバも含めて、繁茂が著しく、水面が隠れていました。
雑草に負けなかったイネは出穂していました。

ヨシ原地区も、水涸れし、ホタルの里整備事業で整備した(谷戸中央部の)水路も、涸れかけていました。
谷戸末端部には谷戸全体の水が集まっているはずなのですが、その状態は最悪でした。
私たちにどうにかできることは無いと思いました。
台風7号が雨を降らせてくれることを願うだけでした。


湿地地区に向かうことにしましたが、上の田圃地区の導水路の木道下を抜けた水面に、シマアメンボがいました。
シマアメンボは、このような環境が好きなようです。


湿地地区では、真っ先に竹林下デッキに行って、ベンチで休みました。
樹間を抜けて来る弱い風が気持ち良く、有難く感じました。

 10:20 気温 31.9℃、湿度 78.8%、暑さ指数 WBGT 31.0(厳重警戒/危険)

作業手袋を外して休憩していたら、その手袋に珍しいハエが来ました。
ミスジミバエのようです。
探して出会えるハエではないので、写真も撮りました。
帰宅後に、神奈川県昆虫誌2018を調べたら、故・脇一郎団員の2002年の記録がありました。


ゆっくり休んだので、湿地地区に入りました。
先週、補修した水路が水涸れを起こしていました。
土嚢をつくらなければと思いながら、持って来たのが、ジョレンだけだったこともあり、長靴で穴を潰して、泥を寄せて、流れを確保して、水面を1段目に広げただけで、 終わらせてしまいました。



竹林下デッキのベンチで、また休憩しました。
そろそろハンノキ林の水辺以外の林床なら入っても問題無いと思いましたので、植物が繁茂してヤブ状態になっている所の状態を見ておくことにしました。

オカウコギの棘が邪魔するヤブコギでした。
気になっていたウバユリは、ヤマノイモなどに絡まれながら、もう花は咲いたようで、若い実に移りつつあるようでした。

もう一つ、確認したかったのは、仕方なく伐採したイヌザクラ?の萌芽の状態でした。
クサギなどの実生や、ヤマノイモ、カラスウリなどに埋もれていましたが、沢山の萌芽が伸びていました。


ハンノキ林上のデッキに出て、暫く、横になって休んでから、帰りました。

 12:09 気温 32.0℃、湿度 67.7%、暑さ指数 WBGT 28.5(厳重警戒)


かわさき自然調査団の活動

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation