生田緑地植生管理協議会市民部会
里山倶楽部
第9回《B11 城山下谷戸合流地区周辺の植生管理を考える》


日時 2010/10/23(土)10:00〜12:30 晴
場所 芝生広場〜戸隠不動尊跡
参加 (立教大学講師)佐久間淳子、(立教大学学生)石井七海、日向有美、福田有里子、向井芙美
   (かわさき自然調査団)小泉恵佑、水田茂子
   (生田緑地の雑木林を育てる会)白澤光代
   (多摩区道路公園センター)山口泰民  
   (市民部会事務局)岩田臣生、岩田芳美

旧北部公園事務所前に集合して、自己紹介を済ませてから、芝生広場に向かいました。
今日は立教大学社会学部の皆さんが体験参加してくれます。
今日の里山倶楽部の対象地は次図の場所、芝生広場と戸隠不動尊跡の間の谷戸(谷底と両側斜面)としました。 区域境界は確定ではありません。 今日の話し合いを基に植生管理区分を検討します。
課題は、まず自然探勝路を歩いている来園者が気味悪く感じない植生景観であることです。 次に、谷底部の水辺再生です。
この辺りは、生田緑地の中でも暗い印象を与える場所です。 自然探勝路に面した部分の植生を気持ち悪いと感じさせない状態に、 できれば気持ちよいと感じさせる状態に管理したいと考えていることを説明してから意見交換を行いました。

まず芝生広場の植生管理を確認してから、これに面した斜面について意見交換を行いました。

柵の位置が不適切という意見が出るとは予想していませんでした。
芝生広場の周囲の傾斜の緩い部分は3〜5mぐらいの幅で保護して、野草を開花させて楽しむ場所として植生管理すべきということで盛り上がりました。
斜面の大部分は人の進入を阻むような植生管理が望ましいということで落ち着きました。
同じ斜面でも道標のある辺りには、落葉樹と常緑樹が集まって、こんもりとした茂みをつくり視界を遮っていました。 樹高も15mを超えていて、少し面白い感じの木々の塊です。 手前のアオキとこの中のシラカシを伐ろうという意見があり、少しだけ間引いてみようという案に落ち着きました。

ここから進行役を水田ビオトープ班の小泉さんにお願いしました。 若い人にはいろいろ経験してもらった方がいいと考えたからです。
また、ここからが今日の一番大事な目的になる自然探勝路のイメージと植生管理に関する意見交換をすることになります。

この部分の園路と上の広場の間の斜面は、かつて生田緑地の雑木林を育てる会がササ刈りをしたことがあり、その作業後、 広場側から園路を見通せるようになって気持ちがいいという感想を皆が持ったという話が、同会の代表である白澤さんからありました。
園路側から見上げると、ネザサの状態は余り感じの良い状態ではなく、所々にあるアオキが更に印象をわるくしているようです。 この斜面は、草本層として、ネザサが丈低く繁茂している状態が望ましいという結論になりました。

園路が平坦になった辺りの南側の斜面はネザサが伸びて垂れ下がっていたりするので、裾苅りぐらいはするようにした方がいいだろうということになりました。 この急斜面の上側は生物保護区としてネザサ密生で、人が入りにくい方がいいだろうということになりました。 崖下の緩斜面部分については ヤマルリソウ、アオイスミレ、ヤマホトトギスなどを保護する意味で低い柵等を設置すべきという話になりました。

谷側については、亜高木層が無いということが関心を引いたようで様々な意見が出されました。
ここにあるヤマザクラの樹高が非常に高く、樹冠が斜面の上の方の高木層と一体となっている状態が観察されました。 園路はこの斜面の雑木林の中に通っているのだということを更めて知りました。
またヤマザクラの周囲にエゴノキが数本あるのですが、この樹高は及ばず、元気がないようでもあり、 この園路の雰囲気が暗いのはエゴノキの木肌が不気味な印象を与えるためではないかという意見もありました。
草本層〜低木層にはアズマネザサ、ヤマグワなどが、如何にも放置された場所という感じに繁茂していたため、この部分は一度全て刈り取ることにしよう ということに意見が落ち着きました。

枡形山から降りている急階段の下のデッキの周辺は、ハンノキ林のような状態の湿地になるように水辺を再生・保全しようということになりました。
生物保護区の中の水流が土砂で埋まって、水面が閉鎖されているので、これの再生活動もしたいという意見を述べました。
生物保護区側の園路沿いの植生についても、奥まで見通せるようにという意見と奥は見えないようにした方がいいという意見が出されましたが、 生物保護の観点から奥は見通せない方がいいということに落ち着きました。
現状、手前に生えているのはアオキなのですが、このアオキは当面は伐採しないこととなりました。 ただ、倒木などが放置されていて、これが印象を悪くしていると思われるため、これらは片づけて、園路沿いは見苦しくない状態に管理しようということになりました。

苗木畑に利用している場所から谷底部を調べてもらい、意見交換をすることにしました。

苗木畑側から園路との間を見るとヤマグワやネザサが繁茂して、放置されたヤブ状態になっていました。

更に奥まで入って、水田ビオトープ班として水辺の再生をしたいと思っている場所を見てもらい、意見交換を行いました。

戸隠不動尊跡側の斜面は園路が狭いこともあってネザサの繁茂が気になるようでした。
ここも園路に面した上側の斜面はアズマネザサを短く管理していくべきだろうということで落ち着きました。

予定の活動を終了してから皆でホタルの里に回り、ミゾソバを見てもらいました。 上の田圃では数種類のアカトンボが群れていて、なかなか良い雰囲気でした。

梅畑のテーブルベンチでお茶とお菓子の休憩をとり、解散しました。


今回、意見交換した結果は、当該地区の植生管理計画案として整理し、生田緑地植生管理協議会に諮ることになります。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation