生田緑地植生管理協議会市民部会
里山倶楽部B
里山倶楽部B第1回/オリエンテーション

日時 2011/4/16(土)10:00〜13:00 晴
場所 生田緑地 ピクニック広場 A05 〜萌芽更新地区 A06 〜城山下谷戸 B10 〜枡形山 A11 〜飯室山 A15 〜枡形山〜中央広場
参加 磯部由喜子・みなみ、荻原圭一、金子文隆、城所葉月、塚越孝行、長岡泰造、前田 宏
   (市民部会事務局)岩田臣生、岩田芳美、佐藤利奈

いつものように公園管理事務所前に集合し、参加者の自己紹介を済ませてから、ピクニック広場に向かいました。 オリエンテーションということで生田緑地植生管理協議会の話などをしなければなりませんが、 それにはピクニック広場のテーブルベンチに座っての方がいいと考えたからです。


A05地区
谷戸へ降りるところで、植生管理計画上の植生管理区分としてのピクニック広場地区というのは、ピクニック広場と呼ばれる平坦な場所だけではなく、 周囲の雑木林も含めていることを説明しました。
続いて、木製階段を少し降りたところで、上側の崖面(A05-3)について、10年間放置したらどうなっているかを想像してもらいました。
里山倶楽部Bの活動で最も重要なものが「現地で植生管理について話し合うこと」だと考えています。
この時に、「現状のままがいい」という意見がよく出されます。
でも、現状を維持することは放置することではないということを理解していることが、非常に重要なことだと思います。
生田緑地は潜在的には照葉樹林帯に位置し、原植生は常緑樹林だとされており、里山管理によって温帯の落葉広葉樹林帯の植生が出現していると考えられますが、 場所場所によって偏向的遷移が進んでいます。 生田緑地内の各地区の植生の状態は、様々な要因が関連した中での遷移の一過程にあり、 放置したらどの様に遷移するかを想像できる柔軟で豊かな想像力を養ってほしいと思っています。

A05-1の林床を観察してもらいました。アズマネザサを刈り取り、シュロやアオキ、枯損木などを2008年11月に除伐した地区であることを説明しました。
2年以上が経過しましたが、キヅタ、ヤツデ、アズマネザサ、アオキなど、殆ど常緑のものばかりが、やっと生育し始めたといった感じです。 ミズキ、ヤマグワなどをもっと伐採した方がいいと思っていますが、樹木伐採について合意が得られていないとできないことを説明しました。
雑木林の断面構成も雑木林を考える時の大切な要素です。 高木層、亜高木層、低木層、草本層に分けて状態を観察し、評価し、どの様な状態を目標にするのかということが植生管理を考える時の手がかりになります。

テーブルベンチのある所に来たものの、テーブルベンチは汚れていて、とても座る気にはなりませんでした。 生田緑地内のテーブルベンチや看板は適宜、拭き掃除が必要だと思います。
ここで、「生田緑地植生管理協議会とは」、「市民部会とは」というオリエンテーションを行いました。


ピクニック広場地区から萌芽更新地区に、周囲の自然を観察しながら移動しました。

A06地区
萌芽更新地区は、1200uのコナラ・クヌギ林を、1998年12月に萌芽更新を目指して伐採した地区です。
皆伐できずに残された樹木もあり、同時に補植もされました。
しかし、伐採後にコナラ・クヌギ林に戻すための植生管理はされていませんでした。
市民部会では、2008年1月に目標植生について話し合い、その後、コナラ・クヌギ林に戻すための植生管理を3年間進めてきました。
腐ってしまった切株や、切株から伸びた萌芽枝の先端に芽吹いた小さな葉、補植されたコナラ・クヌギの枝先の芽吹きなどを、皆で観察しました。
林床にはタチツボスミレ、オカスミレ、ナルコユリなどが広がっています。
この3年間に10本以上の高木・亜高木、ムクノキ、シデ類、キリ、アカメガシワ、ヤマグワなどを伐採してきました。 高木層にギャップが広がって、漸く、コナラ・クヌギが目立つようになってきました。 いじけた樹形ながらコナラ・クヌギの枝先に小さな葉が光っていました。
昨年度、飯室山南地区で皆伐による更新を試していますが、こちらは少しずつギャップを広げることで雑木林の修正を試みています。

萌芽更新地区からハンノキ林上の池に回りました。
ハンノキ林の上側で、生田緑地の湧水の話をし、ハンノキは谷底部、コナラは斜面と微地形によって植生が異なっている様子も観察しました。
ハンノキ林上の池の水面にはサクラの花びらが広がっていました。 その下にアズマヒキガエルのオタマジャクシが泳いでいます。

A07地区
ハンノキ林は環境省の特定植物群落に指定されている自然林です。
一時期は4mを超える高さにアズマネザサが密生し、谷間の自然探勝路は女性の一人歩きができない状態でした。
現在は、かわさき自然調査団の水田ビオトープ班が、取り返しのつく範囲で少しずつ、水辺の生物の生息環境を保全するための活動をしています。

芝生広場に登る途中の斜面で、ヒサカキが広がっている状態を観察しました。
生田緑地では、亜高木層をヒサカキが占め、草本層の消えた場所が各地にあります。
こうした場所を草本の生育する雑木林に戻す植生管理も2ヶ所で試みたものの、埋土種子が死滅していたのか、なかなか回復していないことを話しました。

A09地区
芝生の無い芝生広場です。かつては畑として利用されていたところを芝生広場として整備したところです。
中央のなだらかな部分は年2回程度の草刈りを行っていることを話しました。

芝生広場からB10地区を見下ろして、昨年度の市民部会で合議し、植生管理を行ったことを説明しました。

偶然、ウラシマソウが咲いていたため、全員で観察しました。

城山下谷戸の水流は見えなくなっていました。雨が少なく、水量が極めて少なくなっています。

ここから枡形山に登り、飯室山まで行って、飯室山北地区(A15)の植生管理について説明しました。
飯室山見晴台にて、お茶にしました。 里山倶楽部についての説明を続けました。
長者穴古墳付近の園路の修復工事が行われているため、当該地区の通行は禁じられています。
枡形山に戻り、中央広場に回り、次回の里山倶楽部の対象となる中央広場北側地区を広場側から眺めて、解散しました。
ヒメハギが咲いていました

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation