生田緑地植生管理協議会市民部会
里山倶楽部B



中央地区南側を歩く


日時 2014/5/17(土) 10:00〜13:00
場所 東口〜野鳥の森〜つつじ山〜奥の池〜岡本太郎美術館〜クラブハウス〜生田緑地整備事務所2階
参加 今井田恵方、小嶋万由美、高橋弘文、前川元彦
  (資生堂)沖ゆかし
  (富士通)畠山義之、嶺 義則、安田 亨
  (雑木林を育てる会)佐藤俊子、白澤光代、前山英二、藪 哲二
  (水田ビオトープ班)小泉恵佑、政野祐一
  (生田緑地整備事務所)清田陽助
  (市民部会事務局)岩田臣生            計16名

平成26年度第2回目の里山倶楽部Bです。
(1)東口
生田緑地東口ビジターセンター2階入口に集合しました。 しかし、前回の集合場所である1階入口に集合した参加者が複数いました。


(2)菖蒲池

菖蒲池に咲くキショウブは駆除した方がよい。
 キショウブは明治時代に観賞用に輸入された植物らしいのですが、現在、環境省によって要注意外来生物に指定され、侵略的外来生物ワースト100にあげられている植物です。 このような植物が生田緑地の玄関口である菖蒲池に繁茂し、花を咲かせている景観は無い方がよいものという意見が全員から出されました。

菖蒲の花の写真入りで咲いている品種を紹介する看板が欲しい。


(2)〜(3)
菖蒲池南斜面の裾の方に繁茂し始めたヤツデ
 2008年11月30日に、純林状態になっていたアオキの除伐を市民部会(里山倶楽部)で行った場所です。
しかし、斜面が暗いせいか、その後の斜面の植生回復が進みませんでした。
そこで、昨年(2013年)11月16日の里山倶楽部で斜面上の常緑樹を間伐しました。
今年は、その効果を見ていきたいと思います。
斜面の裾の方にヤツデの実生が沢山出ていました。 これは除伐した方が良いという意見でした。

園路に面した所のハルジオンやミョウガ
 外来種なのに除草しないのかという意見がありました。
 ハルジオンは、大正時代中頃に観賞用に輸入したものが帰化した北米原産の植物です。 日本生態学会が日本の侵略的外来種ワースト100に指定している外来生物です。
外来植物だから駆除しろという意見は当然ありますが、誰が駆除するのかが問題です。
 生田緑地の北側の谷戸では、他の植物との競合が問題になるような侵略的な繁茂の状況は見られません。 むしろ、4〜5月は昆虫たちの吸蜜源として役立っていると思っています。
しかし、この斜面の裾の部分にはトキホコリという絶滅危惧種が生育するので、駆除しておいた方がいいかも知れません。
 ミョウガが広がっているが、これは駆除しないのか。
ここでの議論は、ハルジオンなどの外来種、ミョウガなど食用とするために植えられたらしいもの、又はその野生化したものなどの取り扱いについてが中心になりました。 今日の参加者は、こうした植物は駆除すべきと考える人たちでした。


(3)〜(4)

野鳥の森の入口が分かり難い
 東口駐車場が立体駐車場になったことで、東口から野鳥の森の入口を見ることができなくなったためだと思われます。
 人が少ない方が野鳥観察には適すると考える人にはこのことは良いことかも知れませんが、歩きたいと思ったのに入口が分からなかったという人には欠点であるかも知れません。 ただ、この欠点は適切な案内標識があれば解消されると思われます。

オカタツナミソウが咲いていました。

野鳥の森としての整備
 野鳥の森ということでの特別な整備はされたのかという質問がありましたが、これについては現況から推し量る以外に方法がなく、明確な答えはできませんでした。
例えば、実のなる木を植えたのかという質問がありましたが、公園植栽に普通に使われているユリノキ、フウ、或いは川崎市の木であるツバキなどが見られるものの、特別、実がなるということで植栽されたような樹木は確認できません。
アオキは赤い実がなって、野鳥はこれを好んで食べるようですが、植栽ではないと思います。
勿論、野鳥の好きな木を植栽して、野鳥を集めようとすることが適切かどうかという問題もあります。


園路の上に樹木の枝が伸びている景観
 川崎の市街地の中にいるとは思えないような景観を構成する要素の一つであるかも知れません。 自然を感じさせる要素としては大切と考えられますが、最近の枯木落下事故の影響で危ない枯枝の除去を行っているところです。

(5)付近
野鳥の森として整備された時に、野鳥の水飲み場として設えられた場所?
 意図的に置かれたと思われる大岩が土砂に埋まり、管理者の記憶からも消えて、セキショウが繁茂するのみとなっています。
 掘り出して整備した時の状態に戻すべきという意見、人為的な設えは消えた状態のままでよいという意見、評価と対策については対立する意見が出されました。
 野鳥の森の整備は1987〜1988年度に行われていますが、当時は意識していなかった生物の生息が確認されていますので、手を入れるとしても、野鳥のことだけではなく、生態系としてのバランスを考えた保全がなされるべきだと思われます。


大きく成長し始めているユリノキの実生
 野鳥の森の谷奥には植樹されたと思われるフウ、ユリノキなど、成長が速く、巨樹になっている外来樹があります。
 フウは、台湾、中国南部原産の落葉高木で、江戸時代中期に渡来した外来樹とされています。 しかし、古代の地層からフウの葉や花粉の化石がよく見つかっていて、2000万年〜200万年前にはフウが分布していたようです。 冬期、樹下には大量の実が落ちていますが、この実生は確認されていません。

 これに対して、ユリノキは明治時代初期に渡来した北米原産の落葉高木です。 こちらの実生が何本も育っていることが確認されました。
 植栽された親木はともかく、実生は小さいうちに除伐すべきとの意見が出されました。
この場所のユリノキの実生を除伐することに反対する人は、今回の参加者の中にはいませんでした。
この種の樹木を見つけた時点で除伐することができるようにするためには、「植栽された外来種の実生は除伐してよい」ということを自然会議で合議しておけばよいのでしょうか。


(6)
四阿周囲の樹木
 四阿からの探鳥のためには枝葉が邪魔になっているという意見がありました。


(6)〜(7)
この範囲の半分ほどについて、草本〜低木層の除伐を里山倶楽部で管理を行いました。
ホウチャクソウ、ムラサキケマンなどが生育しています。
アオキなどを除伐した目的であった園路からの見通しを良くすることは達成されています。
特別魅力的な植物が生育するようになったというような変化はありませんが、悪い評価を与えるべき変化が確認されていないということは大事なことだと思います。


土の採取禁止看板

(7)〜(8)
コアジサイの生育地
 日本固有種で、関東地方以西の本州、四国、九州に分布する落葉低木。
 県内では箱根、丹沢、小仏山地、相模原台地などに多く見られ、樹林内に生えると神植誌2001にあります。 同誌の分布図を見ると、市内での記録は多摩区のみです。
 生田緑地でも、ここにしか生育していない植物であり、この辺りは特に大切に管理すべき場所だと思います。

野鳥観察舎
 2013年10月の里山倶楽部で、周囲の常緑樹やズマネザサを除伐しました。
チゴユリ


(8)

(4)〜(8)を結ぶ探勝路沿いのシダ、アオキ
 シダの刈り取り、アオキの除伐などを求める意見が出されました。
 アオキが大きくなり、シダやアズマネザサも繁って探勝路に迫り出してきていますので、探勝路沿いについては手入れの必要がありそうです。

現在地が確認できるような看板がほしい。


針葉樹の実生も育っている。
 様々な考え方があり、植生管理についての合議がされていません。

(9)〜(10)
度重なる土の採掘によって崩れたがけがまたしても崩れていました。
思い切った対策を講じる必要があるでしょう。


(10)〜(11)
ここは生田緑地の外の市道を歩きます。


(12)〜(13)
丸太階段の丸太が一部腐っている


(13)


(14)〜(15)
雨水によって表土が流れ落ちた場所


(15)〜(16)
昨冬アズマネザサ刈りをした場所の園路沿いにオカタツナミソウが咲いていました。

広場には入ってよいことになっているが、その標識はない


(17)〜(18)


梅の品種を紹介しているが写真が無いので利用価値のある看板にはなっていない。


(18)〜(19)

トチノキの実生が沢山出ている。
 除伐するなら早い方がいい。残すのか、除伐するのか、合議を急いだ方がよい。
 在来種の植栽の実生が沢山見られるようになった時の考え方について合議する必要があります。


奥の池の水が汚い。泥が溜まっている。キンギョ、アカミミガメ、ウシガエルが持ち込まれて生息している。
 岡本太郎美術館建設前の奥の池は常に澄み切っていて、絶滅危惧種の水草類も生育する池でした。
 最近、非常に水質が悪化していて、夏は悪臭がするようになっていました。
これについての対策を何年もお願いしていましたが、今年度、掻い掘り(かいぼり)が計画されているようです。


(22)
西口園路整備
 「あの新しくできた園路については凄いショックでびっくりしました。何でこんなにしてしまったのだろうか。」
 昨春、計画説明があり、5〜6回の話合いがありましたが、5年前から決まっていることで設計変更もできないとして強引に工事がされてしまいました。
 「西口を利用してきた者としては近くなったのは有難いが、生田緑地らしさが壊されてしまった。」
 「赤土の裸地にしか見えないが、これで工事は完了しているのですか。」
 「4月にオープンセレモニーもあったようなので、完成形だと思います。」
 「何でこんなになってしまったのかと思うと悲しくなりました。」
 「芝生広場よりも、生田緑地の雑木林の良さを大切にして欲しかった。」
 「岡本太郎美術館が谷戸の一番奥の行き止まりの場所にある建物として設計されているので、裏側に通過する交通や裏側での広場的利用については配慮されていません。 従って、防犯上の死角についての対策も必要なはずです。」


(22)〜(23)西口園路として昨年度整備された区域
芝生養生中の看板があるが、赤土の地面が広がっていた。
雨水排水施設が不十分ではないのか。
広場として整備されたはずだが、木陰が無く、利用されないのではないか。
生田緑地には相応しくない整備のあり方だ。本当に驚いた。
建物に接する部分の排水処理施設が不十分で、問題が起きそう。
水流を残し湿地として整備すると言っていた場所に水は無かった。


大きな切土面があったが、勝手に自然保全エリアに手をつけたのではないか。
 昨年度、行政計画として位置付けられた保全と利用の方針の白地地区の取り扱いについて議論されたが、工事範囲が自然保全エリアにかかるという説明は無かったし、 自然保全エリアの工事としての手続きも行われていません。


芝の代わりに、マツバウンラン、アメリカフウロなどの外来種が咲いていた
 マツバウンランは生田緑地には未侵入の外来種であった。他所に広がらないように急いで対策を講じてもらいたいと思います。


(26)生田緑地整備事務所2階
岡本太郎美術館西側の広場についての利用のされ方についての計画が見えない。 生田緑地とは違和感があった。
西口園路の計画は利用についての配慮が無さすぎる。
樹木がないので、広場としての利用は困難ではないか。
自然を大事にする整備とは程遠い。
舗装に高価な石を使っている
雨水排水に問題があるのではないか。
15番のアズマネザサ刈りをしたことで園路利用者が増えている。 今後も同様の管理をしてほしい。
奥の池の掻い堀り後の管理について適切に行われないといけない。 掻い掘りはボランティアを集めて行えば費用はかからないのではないか。 取り出した土砂の処理に費用がかかる。
アジサイハバチの幼虫被害について
幼虫は手でつぶしている。
多様な生物による生態系バランスが大切で、1種だけを優占させようとすると、これを妨げようとする力が働く。
アジサイ山という地名がイメージさせるものと現実のギャップが大きい。
 アジサイの咲く時期が元々あったものと、補充したものでずれているために一面の開花を見せられない。
 4種類ぐらいのアジサイを植えてやれば、アジサイハバチに全てやられるということは無いのではないか。
丸太階段の土がえぐれてしまっている所があった。
野鳥の森の中の園路は車を通すために広くなっている。 このために大きな切土になっていると思うので、車を入れない条件で園路を考えた方がいいと思う。
メタセコイアの根に引っかかって転びそうになった人がいた。
ガビチョウの声がしていたが、対策は考えられているのか。
ガビチョウの駆除については許可を受けなければできないし、被害の実態を明確にできないと許可申請することができません。

お金をかけて綺麗な所と、古くなって汚らしい所がある。

コゲラの声、ドラミングが聞かれなかった。 コゲラが生息できないような環境になっているのではないか。
生物はいつでも同じ場所にいるわけではないので、必ず出会えるものではない。
(19)〜(20)は滑りそうで危険。
(ここが滑り易いと思ったことはないので、よく分からない)
奥の池の水が汚い
(2)〜(3)にニワトコの枝が下がっている
消防が設置している看板は景観に対して違和感がある
掻い掘りやその後の管理については市民の協力を得て進めたいと考えている。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
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