生田緑地の生物多様性保全活動


旧岡本谷戸の水辺保全活動
日時:2022/11/24(木) 10:00〜12:00
場所 生田緑地 旧岡本谷戸の水辺地区(B03)
参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三

今朝の西口トイレでも、ニトベエダシャクが観察できました。

今日は、生田緑地中央広場を経由して、調査団では<旧岡本谷戸>と呼んでいる谷戸の水辺保全活動に向かいました。
メタセコイアの林は、紅葉し始めていました。


生田緑地の地層の基底部は飯室層、昔は飯室泥岩層と呼ばれていた不透水層になっていて、その直ぐ上に、おし沼砂礫層、その上が関東ローム層と呼ばれる火山灰層になっています。
雨水は、関東ローム層に貯留され、おし沼砂礫層に染み出し、飯室層の表面をつたって広がります。
それが、地表に滲み出して、集まり、小さな流れをつくっているのが、生田緑地の湧水です。
生田緑地の中には、この関東ローム層とおし沼砂礫層が崩れ落ちてしまって、飯室層が露出して、その表面を湧水が滴っている場所が数ヶ所あります。
多くの場合、その露頭の下は湿地となって、ミヤマシラスゲなどのスゲ植物が繁茂していて、独自の景観を形成しています。
私は、まだ生田緑地の自然保全活動を始める前でしたが、多数のスジグロボタル幼虫が湧水が滴る崖面で明滅する光景を観察して、驚き、感動した経験があることから、 これは生田緑地の自然を象徴する景観だと考えています。
スジグロボタルは、神奈川県のレッド・データ・ブックでは、準絶滅危惧種に指定されている昆虫で、陸生でもなく、水生でもなく、半水生ホタルとして扱われていますが、 多摩丘陵の各地でも、湧水環境のある所では棲息が確認されています。
ホタルの仲間ではありますが、成虫は発光せず、一生をスゲ植物が繁茂する湿地の狭い範囲で生活していることが知られています。

旧岡本谷戸と呼んでいる場所は、中央広場からつつじ山に向かう園路が通っていて、この園路から西側を眺めると、斜面裾に小さいながら、飯室層の露頭を確認できます。
この露頭の下に小さな水流があったのですが、かつて、そこに伐採材が多数捨てられていたことがあって、何とかしなければと思い、2008年に、 当該地区の水辺保全活動を始めました。
  旧岡本谷戸の水辺保全活動の経過

今日は、ここの斜面下の水流の泥上げを行って、流量が多い時には流れとなる状態にする活動を行いました。(水流a)
また、広がり出したスゲ植物の繁茂する中に水溜まりをつくったり、当該地区の湿地を広げる活動も少しずつ行ってきていて、そこにも小さな水流(水流b)ができています。
この水流b の辺りのスゲ植物の繁茂が著しく、上流側にシラコスゲ、下流側にミヤマシラスゲと分かれて繁茂していました。
このスゲ植物が繁茂する中の水流b についても泥上げを行いました。
この地区の水流も、末端から直ぐに下水に排水されてしまいますので、水流に棲息する生物は少ないのですが、 水辺の湿地は、スジグロボタルの棲息地として、年1回は水辺保全の活動行っています。

(水流 a)





(水流 b)




今年は降雨の頻度が高かったせいか、スゲ植物は広く、繁茂していました。
また、トウカエデの実生が多数生えています。
トウカエデは中国南東部原産の外来種ですが、当該地区の実生は、園路植栽として植えられたトウカエデが種子散布し、明るくなった湿地で発芽したものです。

周辺には、マンリョウ、カラタチバナが赤い実をつけ、ヤブランが黒い実をつけていました。




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